第15話

ほんと、その首のキスマークはいったい誰が付けたの?


彼女?それとも別の女の子?


構われて嬉しいのに複雑。



一晩中泣いてたこっちの気も知らないで。



そんなの付けて帰ってこないでよ。


お願いだから。





「あ、おいっ。スマホまで濡れただろ」


「いいよ、もう。壊れちゃえば」


「アホか。オカンにぶっ殺されるだろ」


「代わりに怒られてあげる」



「何だそれ。そこまでして俺に遊んで欲しいのか」


「うん。遊んで〜」


「ったく。しょうがねーな」




ヘラヘラ頬を緩める私にお兄ちゃんは満更でもなさそうに笑った。


優しく目を細めて。




「相変わらずのブラコンぶりじゃの」


「ねー。本当に仲が良いんだから」


「ま、ナンパ師も近くに居ることだし、見張りもせんとな」


「そうだね」



からかうようにノンちゃんとサクラがクスクス笑う。



何だかんだ言ってお兄ちゃんと海に来たいって願いが叶った瞬間。



遠くの方に居たクゲ君が私に向かってひらひらと手を振る。


よく分からないけど、あの人にナンパされてちょっとラッキー。



いつもはしょっぱい海の水から幸せの味がした。




愛されたいから、なりきって【完】

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愛されたいから、なりきって【完】 柚木ミナ @yuzuki-mina

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