第11話

お兄ちゃんったら本当に過保護だ。


自分だって海でナンパしまくってるくせに。




「別にそこまでしなくても…」


「いいや、ダメだ。チエミ。こういう一見、無害そうな奴には徹底的に冷たくしとけ。1番危ねぇ」


「もー…。いくら何でも失礼だってば」


「失礼じゃねー。こいつは本気で怪しい。絶対にチエミを食って育てて売り捌こうと企んでる」


「そんな、まさか…」


「本当だ。見ろ!あいつの顔を。図星をつかれて焦ってるだろ」




失礼な発言を繰り返しながら不躾にクゲ君を指差すお兄ちゃん。


そんなの絶対にあり得ないと思いつつクゲ君に視線を向ける。




「無い無い。あり得ない。無実だって」



クゲ君は両手をひらひらと振って降参のポーズ。


敵意はありませんって顔だ。



しかし、確かに冷や汗をかいて焦っている。


単純に引いてるだけかも知れないけど。

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