第29話

昨日も優しく接してたし、カンナも機嫌良く甘えてきてたはず。



なんなら自分でも引くくらいにデレデレしてたし。




いや、もしかしたら自分が気づかなかっただけでカンナのことを傷つけたのかも知れない。



だとしたら……何やってるんだろ、俺。



今まで傷つけた分……いや、それ以上に大切にしたいと思ってたのに。



でも、カンナは俺の予想とは全く違う言葉を口にした。





「したの…?」



「何を?」



「……キス。他の女の子と…したの?」



「……は?」





一瞬、思考が止まる。



他の女とキス?いや、するわけないし。



したいとも思わない。



カンナがこうなるってわかりきってるのに。

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