第30話

ポロッと壁紙が数㎝剥がれて、剥がれた壁紙が床にヒラヒラと落ちていった。



いやっ。壁に傷が……!!





「おい、カンナ。お前、ショウに謝って貰ったか?」




健オジサンが低い声をさらに低くさせて私に尋ねてくる。



怒りを押さえているような僅かに震えた声。




「ううん。全然」




首をフルフルと横に振って否定した。




「殴られそうになってた」




ナオもすかさず真実を告げる。




「殴られそうに……なった?」





健オジサンのつり目が一段と釣り上がって眉間に深く皺が寄る。



下から上まで舐めるように視線を送られたショウはギクッと体を強ばらせた。



さすが……昔、魔王って呼ばれていただけあって迫力が凄い。



怖すぎる。




「やーんっ!オジサン怖ーいっ」




ヤンキー漫画の喧嘩シーンの男の子みたい……!!




「ナオ、カンナァァッ!!てめぇら、本気でぶっ飛ばすっっ」




オジサンに睨まれたショウは拳を握り締めて、私達に向かって怒鳴ってきた。




もう深夜なのにー。

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