第28話

「んだよ。脅かすなよ。真っ最中かと思って本気で焦ったし」




呆然と私たちを見ていたショウは、はっと小さく鼻で笑うと開けっ放しだった部屋のドアを静かに閉めた。



そのまま髪の毛を指でサラサラと弄りながら、ダルそうに壁に凭れてじっと私を見つめてくる。





「ショウ……」



「で、覚悟は出来てるんだろうな?カンナ」



「え?」



「え?じゃねーよ。お前のせいで俺はあの後、交番に連行されるわオカン呼び出されるわ、散々な目にあったんだからな」




油断していた私を睨みつけて、ショウは鬼みたいな怖い形相で指の関節を鳴らしながらベッドまで詰め寄ってくる。



うわぁ……。



ボコボコにされるかも知れない。



顔が引き攣る。



近づいてくるショウから逃げるように、慌ててナオの背中と壁の間に隠れた。





「ん?交番ってどういうこと?」




ナオが振り返って私に不思議そうな顔で尋ねてくる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る