第8話

尋常じゃないくらい怖い顔で近づいてくるショウを見て背筋がゾッとした。



こんなの捕まったら最後。



確実に殴られるコースに決まってる。




「いやあぁぁっっ!!」




急いでショウとは反対方向に向かって走り出す。



今、歩いてきたばかりの道をまた戻るように走り抜けて、判子屋さんとエスプレッソの前を通り過ぎ、曲がり角にある定食屋さんの横の路地に逃げ込んだ。




「きゃあっ!!」




……のも束の間、民家を何軒か通り過ぎたところでショウに突き飛ばされて派手に転んでしまった。




「お前……今日は本気で容赦しねぇからな」




近くに置いてあった自転車のカゴの中にケーキの箱を入れて、すかさず馬乗りになって私の胸ぐらを掴むショウ。



眉間に深く皺を寄せて、怒りを剥き出しにした顔で私を睨んでくる。




どうしよう……。



このままじゃ殴られちゃう。

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