第31話

かくして、日時と場所を決め、その日が訪れた。

場所はありさが見つけた所に決まった。

なんでも、地元の人もあまり訪れない穴場の桜スポットがあるとの事。


ありさの家に集合し、ありさの案内で花見の場所へと向かった。

天気は綺麗な晴れで、温かな風が心地よかった。

絶好の花見日和である。


「ありさ、この辺に桜なんてあったっけか?」


「あたしも店のお客さんから聞いただけだから、行った事ないし解らんのよね」


「うおいっ、不安な発言が飛び出したなっ!?

 信憑性はあるんか?」


「いやあ、下調べを兼ねて行ってみようと思ったんだけど、店の手伝いとかで疲れて寝ちゃったから、結局下調べ出来んかったんよね。

 ごめんちょっ☆」


「可愛く言っても許されねえし、微塵も可愛くねえから!

 もしその場所が見つからんかったらどうするんよ」


「…携帯の動画サイトで、情緒溢れる桜の動画をうちで見ながら、各自持参した弁当などを食べる?」


「それじゃ単なる鑑賞会じゃねえか!

 責任取って、桜の木の下に埋まってろ」


「嫌に決まってんだろっ!?

 ちったああたしの事を信用しなさいよ!?」


「無理」


「くあ~っ、即答かよ!?」


「まあまあ、2人とも落ち着いて」


このままでは収集がつかなくなると思った澪が、美咲とありさの仲裁に入る。


「もし見つからなかったら、ありさの家の近くの公園にでも行こうよ」


澪の言葉に、梓が言葉を発する。


「でも、さっきありさの家に来る途中に公園の前を通って来たけど、場所取りのブルーシートが結構敷かれてたよ?」


「ん~、困ったねえ。

 とにかく、今はありさを信じるしかないか」


「なんか責任重大だなあ。

 ともかく、あたしはお客さんが提供してくれた情報を信じるぞ!

 信じる者は救われる!」


「ありさを信じても救われなさそうだな」


「みさきち、こるあっ!

 折角あたしがポジティブな事を言ったのに、ことごとく畳み掛けんじゃねえよ!」


「やんのか!?」


「やらいでか!?」

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