1日目/何でこうなった

第5話

結局家に連れて来ちゃったが、果たして良かったのか




今更ながら、そんな疑念が頭に浮かぶが、時は既に遅しとやつで。

時刻はもうすぐ真夜中の2時に差し掛かろうとしていた。

何もなければ、今頃風呂から上がって、先程買ってきた酒と焼き鳥で、晩酌を楽しんでいた筈なんだが…。


彼女を家に上げた。

左右に視線を移し、きょろきょろと部屋の中を物色。

私が先にリビングに行くと、その後をついてきた。


明るいところで彼女をまじまじと見てみると、大人の女性かと思っていたが、濃い化粧からでも幼さが見え隠れ。

まだ10代くらいだろうか。

下手したら高校生か?

…もし高校生だったら、色々ヤバいのではと少々焦る。


2人して向かい合ってるのもあれなので。


「…ソファに座ったら?」


促すと、彼女は特に反応を示さないまま、静かにソファに腰を下ろした。


「何か飲む?」


少し考えた彼女は、小さな声で「コーヒー」と呟いた。

こんな時間にコーヒーを飲んだら、寝れなくなるのでは?

と、どうでもいい事が浮かんだが、すぐに振り払うと台所に向かい、電気ケトルに水を汲み、スイッチを入れた。


沸くまで時間がかかるから、換気扇を回して煙草を吸う事にした。

オープンキッチンだから、向こう側にいる彼女が見える。

彼女はやや顔を下げながら、携帯を弄っていた。

こちらの視線には、気付いていないご様子だ。


私も何か飲もうと、買ってきた缶ビールを開けると、そのまま一口飲んだ。

苦みが舌いっぱいに広がり、飲み込めば炭酸が喉を刺激しながら通っていった。


インスタントコーヒーを用意し、マグカップに入れ、沸いたお湯を注げば、コーヒーのいい香りが鼻をくすぐる。

吸い終わった煙草を灰皿に捨て、マグカップと缶ビールを持って彼女の元へ戻った。


私の気配に気付いた彼女は携帯をソファに置き、マグカップを受け取った。

がしかし、匂いを嗅いだりしながら、首を傾げる。


「それ、コーヒーって言うんだよ」


私が口を開くと、彼女は目尻を少し吊り上げながら私を睨んだ。


「んな事知ってるし!

 てか、何か怪しいクスリとか、睡眠薬とか入ってないでしょうね!?」


こんな時間でも、大変元気でよろしい。

けど、近所迷惑になるから、もう少し声のボリュームを下げていただきたいが、今それを告げたら、もっと大きな声を出されそうだから飲み込む事にした。

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