第31話

放課後になり、帰る仕度をしていると、教室のドアが開いた。


「ま~ちゃ~ん、迎えに来たよ~」


ドアが開き、現れたのは彼女と高橋さん。

彼女はジャージを着ていた。


教室にいた子達は彼女達を見た後、その視線は一斉にあたしに向けられた。

途端、あたしは驚いて固まってしまう。


みんなの視線が怖い。

『どうして普段誰とも喋らないし、誰かと一緒にいるところも見た事もない人が、この2人に呼ばれているのか』

好奇、不思議という目が、双方から向けられている。


恐縮してしまったあたしを見つけた2人は、あたしの所まで来た。


「舞、仕度出来た?」


固まっていたあたしは、彼女の言葉で我に返る。


「ご、ごめんなさい、まだです!」


「ま~ちゃん、敬語になってるよ」


高橋さんはけたけた笑う。


「瞳と萌がうちのクラスに来るの、珍しいね」


先程授業で先生に指された時、助けてくれた宮本…真美さんが、2人に声を掛ける。

宮本さんも彼女と同じくらいの身長で、髪の毛はストレートでセミロングくらい。

少しギャルっぽい人。


「よっ、舞の事迎えに来たんだ。

 って言っても、私はこれから部活なんだけどさ」


「青春だね~。

 てか、いつの間に飯田さんと仲良くなったん?」


彼女は悪戯な笑みを浮かべながら、「秘密~」


「宮本さんとお2人は知り合いなの?」


邪魔にならない程度に聞いてみる。


「うちら同じ中学だったんだ。

 同じクラスになった事はなかったけど」


「中学の時は、真美っちはバレー部でバリバリだったんだよ~。

 またバレーやればいいのに」


「うちは帰宅部でい~の。

 バイトもしてるしさ。

 今度4人で遊びに行こうよ」


4人…あれ?あたしも含まれてる?


「休みの都合が合えば行こう」


「たまには大勢で遊ぶのもいいねえ」


どうやら含まれているらしい。


あたしの仕度が終わると。


「ほんじゃ、またな、真美」


「またね~、真美っち」


「ま、また明日!」


宮本さんはにこにこしながら、こちらに手を振っていた。


3人で歩いていても、当然視線の雨は降り注ぐ。

良くも悪くも、かなり目立ちまくっている。


下駄箱で靴を履き替えると。


「ほんじゃ、部活行ってくるね。

 舞は今日は図書室行かなくていいの?」


「うん、必ず行かなきゃいけない訳じゃないから」


「そっか。

 じゃあ、2人で楽しんでね」


彼女はあたし達に手を振ると、グラウンドの方へ歩いて行った。

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