第7話

気だるい始業式。

サボれば良かったと後悔する。

サボったらサボったで、先生が五月蝿いのだけれど。

どうして放っておいてくれないんだろう。


新学期が始まって少し経った頃。

もやもやとした気持ちが、鬱陶しいくらいに体に巻き付く。

昔からたまに起こるのだ。


1人になりたくなる。

動けなくなる。

叫びだしそうになる。

苦しくなる。


「希美、ごめん。

 ちょっとサボるわ」


「いつもの出ちゃった?

 無理しないでね?

 保健室に行っておいで」


「ん、ありがと」


希美はあたしがこうなるのを、昔から見てきている。

心配をかけて申し訳ないなとは思うものの、どうする事も出来ない。

心が、気持ちが落ち着くまで1人でいるしかないのだ。


次の授業の担当の先生に保健室に行く事を告げ、教室を後にした。

いつものように保健室に行こうかと思ったが、行かずにこっそり学校の裏へと行った。


人目につきにくいと踏んだが、見事に的中だ。

幸い、見回りの先生もいない。

ここなら1人でいられる。


壁にもたれながら、そのまま地面に座った。

陽が当たらない事も手伝って、少し肌寒い。

地面に直に座っているから、余計に寒く感じる。


寒いのは、心か体か。

自分自身、よく解らない。


膝を抱え、膝に顎を乗せ、ぼ~っとしてみる。

チャイムが鳴った。

授業の始まりの合図。


携帯が震えた。

取り出して画面を覗いてみると、彼氏からのメッセージだった。


『今日会えるの楽しみにしてるよ!』


毎日暇を持て余している。

けど、会う気はなかなか起きない。

専ら、会わずにメッセでのやり取りがメインだ。


適当に返信をすると、すぐにポケットに携帯をしまった。

今更ながら、何で付き合う事を承諾してしまったのか。


今まで付き合った人で、長続きした人はいない。

最長で1年だっただろうか。

が、結局相手が浮気をしているのを知り、あっさり別れた。


最初はみんなちやほやする。

甘い言葉をくれる。

そう、宝石を扱うように。


けど、それは早く体を貪り食いたいからだ。

結局のところ、体目当てなのだ。

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