第10話

下駄箱から少し離れた壁に張り出されていた、クラス表を見てみる。

見事にありさと同じクラスだった。

やはり腐れ縁はご健在らしい。


ありさに別れを告げ、2階にある職員室へと向かった。


「失礼します」


さて、どれが自分のクラスの担任だろうか。

名前は…確か久保だったはず。


誰かに聞いてみようとしたその時、奥の方から自分を呼ぶ声が聞こえ、そちらに目をやる。

そこには活発そうな、たれ目の若い女の人がいた。


「貴女、編入してきた田山さんだよね?」


「はい、そうです」


「私が貴女のクラスの担任の久保玲。

 よろしくね」


「よろしくお願いします」


「とりあえず朝の会議が終わったらクラスに行くから、それまで隣の部屋で待ってて」


「解りました」


職員室を出ると、右隣に多目的教室があった。

特にする事もないので、携帯を取り出して弄る事に。

ありさからメッセージが届いていた。


『みんなみさきちの事が気になるみたいで、さっきからみさきちの話で持ちきり状態(^^)』


持ちきり状態。

おいおい、まじでか。

初っ端から注目されるとか嫌だなあ。

今すぐにでも帰りたい。


どうしたもんか。

いや、どうにも出来ないのは解っているのだけども…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る