第9話

大きな校門を抜けると、校舎まで短い道がある。

左右にはこれまた立派な桜の木が並んでいる。

風が木々を揺らす度に、淡い色の花びらがひらひらと舞っては落ちていく。

ドラマのワンシーンのような感じだ。


ありさと話しながら歩いていると、何となく周囲の視線を感じる。

視線は自分だけに向けられているのか、はたまたありさだけに向けられているのか。


「なあ、ありさ。

 心なしか、みんなこっちを見てない?」


「みんなあたしの可愛さに見とれてんだよ」


「聞くんじゃなかった…」


「おいこら、深くて不快な溜息つくんじゃありませんよっ。

 あれだ、みさきちが目立ちすぎてんじゃない?」


「そんなに目立ってる?」


「いや、あたしは気にならんが」


ありさの言う通り、みんな自分を見ている気がする。

なんだこれ、初日から目を付けられているのだろうか?


まあ、いっか。

売られた喧嘩は買えばいい。

気にしないでおこう。

そう考える事にした。

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