第38話

私の言葉に、夢月が微笑を浮かべて「莉苑君、今年も来たんだね久しぶり。」と歓迎するように手をヒラヒラ振った。





「え?え?え?え?え?」


「……。」


「え?」


「何回言う気かよ。」


「え?」


「まだ言うか。」


「お、男!?!?!?」





そうだって言ってるじゃん。



目を瞬かせ、更には擦り、分かりやすく己の目を疑っているらしい剣が戸惑いと困惑を滲ませる。




「真白、俺の目が可笑しいのか。」


「……。」


「俺にはこいつが長い髪に見えるんだが。」


「心配するな、あんたの目は正常だよ。」


「ど、どう見ても華奢で女みてぇなんだが。」


「あんたの所にも似たようなのがいるでしょ。」


「……誰の事だ?」


「道梨の事だよ。」


「ああ、そういやあいつは男だったな。」





あんた道梨を普通に女として認識してたのかよ。



今の道梨に聞かれてたらめった刺しだぞ。





「やっぱり頭悪いでしょこいつ。」


「あはは、莉苑君は見る目があるね、正解だよ。」


「正解だよじゃねぇんだよ紫陽花!!!爽やかにそいつの味方をすんな!!!」





いやでも頭が悪いの事実じゃん。



諦めて認めなさいよ。





「こんなのが真白の彼氏だなんて有り得ない。」




死んだような目で剣を見るりー君(莉苑の事)が、私の腕に自分の腕を絡める。


だよね、やっぱりそう思うよね、私もこんな男に自分が心底惚れるだなんて思ってなかったよ。




でも残念ながら、どうやら私は剣にメロメロらしいんだ。



今だって、「貧乳な女の間違いだろ?」ってまだりー君の性別を疑っている剣を見ても、胸がギュッって締め付けられてしまうんだから。






本当に、私は心底この男に惚れてしまってる。

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