第12話

一度好きだと認めた気持ちは落ち着くどころか高まる一方で、剣の不意な言動に一々心を揺さぶられる。




「じゃあ泊まりに行く。」




気付けば私は、相手にそんな返事をしていた。




「……私だって、剣と一緒に…いたいから。」


「ビビディバビディブーされたみてぇだ。」




熱くなる顔を隠すように相手に抱き着けば、ロマンの欠片もない台詞が落ちて来た。



何だそれ。普通に魔法に掛けられたみてぇだって言えないのあんた。





でもまぁ、そんな所もこの男らしい。


そんな所すら…好きだと思ってしまう。





私を強く抱き締め返した剣は、私の頬を捕らえて顔を上へと誘導する。



切り替わった視界に映るのは、不敵な笑みをぶら下げた美しい男。



私の好きな、私の恋人。





「泊まりに来るの、楽しみにしてる。」


「うん。」


「安心しろ、AVはちゃんと隠しておくから。」


「いや捨てろよ安心できないわ。」





目を細めた私に笑い声を上げながら「冗談だ」とはしゃいでいるけれど、こいつは前科だらけだから微塵も冗談に聞こえない。





「お前が泊りに来るまでワクワクして眠れねぇ。」


「遠足前の小学生かよ。」


「それくらい好きなんだよ、真白の事がな。」


「……っっ。」





私も好き。



そう返事をする前に、相手の唇が私の口を優しく塞いだ。

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