第10話
「冷たいね、剣の手。」
「真白が温めてくれるんだろ?」
「あらぁ?それじゃあ私が温めちゃうわよ。」
私が返事をする前に大きく響いた特徴のある口調。
それと同時に、繋がった私達の手を上から大きな手が包み込んだ。
「ほらね、今まで洋裁してたから温まってたのよ。」
「おいふざけんな、急に気色悪くなったじゃねぇか!!!!」
いつの間にここへ移動して来たのだろうか。
綺麗な顔でウィンクをかましてくる宵に、剣は顔面蒼白で絶叫している。
「あら、急に俯いてどうしたのよ剣。」
「吐き気催してんだよ。真白の体温と感触が一気に消えちまった…どうしてくれんだ宵。」
「ふふっ、やぁね~照れちゃて。」
「何処が!?!?!?これの何処が照れてる!?!?」
遠慮しないで身体も温めてあげるわよと、剣の身体をいとも簡単に抱き寄せてしまった宵は高笑いを上げている。
腕の中にいる奴は無事に目が死亡していた。
それにしても全くもって静かで穏やかになる気配がないな。
そろそろ11時を回るというのに、静まるどころか騒がしくなる一方のこの空間。
学生ならば夢の中にいないといけないはずなのに、一人として眠る準備をしていない。
「ん……。」
ちょっと訂正。隣にいる彼だけはもう私の膝の上で眠る態勢に入っている。
「青葉君には妬けるね。」
「え?」
「こんなに自然に真白に触れて、甘えられるなんて…俺も見習おうかな。」
こんなに煩い中でスヤスヤと寝息を立てる飛鳥へ視線を落として、悪戯っぽく微笑む夢月がたまらなく色っぽい。
え、エロいなこの人。知ってたけど。
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