第37話

母親同士の仲が良いという、漫画や小説でよく見る条件のおかげで物心着いた時には、私の中での王子様は夢月だけだった。




眠る前によく母親が読んでくれた絵本に登場する王子様。


そんな王子様と結ばれる素敵なお姫様。




私も将来、夢月と結婚したい。


絵本を見る度に、そう思っていた。




だから私はこれまでの人生、全て夢月中心で生きてきた。


魅力的でしかない彼にたかるハイエナのような女達を蹴散らすべく、夢月の隣をひっついて歩いて夢月に近寄る隙すら与えない。



そんな生活をしていた私は勿論…。




「それじゃあ二人一組になったか?…って如月、お前またぼっちか。」


「先生、キャッチボールくらい壁に跳ね返して一人でやれるので大丈夫です。」


「笑顔でそんな寂しい事を言うな如月、先生が相手してやるから。」






友達がいない

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