第14話
とにもかくにも、私はまた毎日を彼と過ごせる物だと思っていた。
一緒に登校して一緒に下校して。
王子様との素敵な学校生活が幕を開けると思っていた。
それなのに。
それなのに……。
「この問題に関しては正直教師達が怯え切っててあてにならないよな。」
「だから夢月や俺等が駆り出されてるんだろう。」
顔を歪める蘭と聖架はもううんざりだと嘆いている。
それはきっと、この二人よりも問題処理で動いている鈴も思っていることで。
さっきまでこの問題の報告書を作っていた私だってかなりうんざりしていた。
「いっその事、両敷地の間に高い壁でも建てた方が良いんじゃないの?」
蘭が作業をしていた手を止めて溜め息をつく。
安易な案だとは思うが、そんな案を出したくなる気持ちも分からなくはない。
「駄目だよ、中立と平和を壊すわけにはいかないでしょう。特にこの高校はね。」
部屋に響いた凛とした声に、私の耳がすぐさま反応した。
慌てて視線をそこに向ける。
開いた扉に凭れるようにして立っているその人物は、私が待ち焦がれていた相手。
「美味しそうな香りがするね、聖架が作ってくれたの?」
「真白の為に。」
「そっか、美味しかった?…って、聞く必要もなかったね真白。」
長い脚で歩み寄って、私の口の端へと手を伸ばした彼。
遠くで見ても近くで見ても、彼は何処から見ても綺麗だ。
突然触れられて心臓が爆発しそうになる私を余所に、親指を軽く舐めた彼は優美に微笑む。
「クリーム、付いてたよ。うん、美味しいね。」
紹介します、こちら私の王子様。
そして未来の旦那様である、
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