第4話
3.稲垣さんの思い
「稲垣さん、答えたくなければそう言って頂いていいんですけど、」
「あ......はい、」
気を遣ってなのか、深澤くんがお酒を取りに席を立った
「あ、深澤さんも聞いて頂いて....」
「だって、座って。ありがとね」
恥ずかしそうにいそいそとお酒を取りに行って、席に座った
「岩本さん、話し...」
「そうですね、稲垣さん、その後、中居さんとご自分達の事をお話しましたか?」
「はい、話しました。詳しくは中居さんから聞くことになると思うんですけど、」
二人の関係はそのまま続いているようだった
ただ、稲垣さんの気持ちをあやふやにしたままでなし崩し的になるよりはお互いを理解した上で続ける事が出来ているので
彼女的にスッキリしているみたいだった
「稲垣さんが傷つかない形が一番ですから、納得しているなら良かったです。」
「中居さんと彼の関係次第といったところではありますけど、どっちにしろ.....」
「しろ?」
「オンリーワンにはなれないんですよ。それだけはハッキリ言われたので、それで良ければということでした」
それまで静かに聞いていた深澤くんが口を開いた
「......苦しいですね、でも僕、気持ちはわかります。それでもそばにいたい、そういう事ですよね」
「そうです、かね(笑)わかってもらえたことで日の目を見たことが無意識にホッとしたのもあります」
「それなら、「今は」良かったです。自分が納得してる事が大事なので」
「蓮伽さん、今はって何?含み....」
「うん、今を終着点にするのはダメだから」
「なんで?!」
「欲しい場所、じゃないからだよ。甘んじてる事はいつか、もっと苦しくなる日が急に来るから。ここから先は、私の仕事なので中居さんと私が話す」
「だって、好きなんだもん。しょうがないじゃない」
「深澤くん、なす術がないなら仕方ないけど、まだやれることがあるし、稲垣さんがもっと幸せになれる答えがある」
「岩本さん.....」
「だから、今”は”」
「.....そっか、僕は稲垣さんの気持ちばっかり考えちゃうから、どうしても中居さん!って思うけど」
「好きだから、って思えばどうしても犠牲を伴ってしまう時があるけどやっぱりオンリーワンがいいでしょ(笑)」
「そうだけど、それでもそばにいれたなら幸せって気持ち、あるじゃん。僕は少しの間、日陰の身だったから」
「えー!いつ日陰の身よ」
深澤くん、あたふたする
「.......いつ?」
「つ、つい最近まで」
「.......は?日陰の身にしちゃ随分、日中一緒にいたけど?言葉に気をつけてね(笑)」
「.......そうですね、スイマセン(汗)」
稲垣さんも大笑いしている
「......お二人とも、幸せそうでなによりです(笑)何か、お二人といると穏やかでいられて良かったです。中居さんも明日こっちに入るので嬉しいですけど
一緒にいたらいたで淋しい時もあるので。しばらく、お二方とご一緒の機会があるので嬉しいです」
「それは良かったです。また、お話だけでも聞きますから、何かあればこちらへ来て下さいね」
「ありがとうございます。今日は、お二人とも疲れたでしょうから、これで失礼するので、ゆっくりしてください」
稲垣さんは、宿を後にした
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