第28話

そして叔父上はしっかりと私の目を見つめた。























「わしは、次の島津の当主にはそれができるお前が一番相応しいと思っている。



…ただどうしても承服できぬのならば、これはわしの命ではなく…



—————————お前の天命と心得よ」

 
























その強い言葉に、意識せずとも音もなく頬に涙が伝っていた。










—————————————天命。









それは、天から与えられた使命ということ。








家督を継いで当主になることが…私の天命なのだと。







叔父上は言う。

















「その天命に、お前の心が追いつこうとしているのだ。





ただありのままに受け入れよ。





それができた時、お前の中のその二つの心は…きっと一つになるだろう」







 













突然示された解放の道が、どうしてかすとんと心の中で静かに馴染んでいく。






嫌なはずなのに。






逃れたいはずなのに。







馴染むと同時にただどうしてか…この心は凪いでいた。











そんな私を見た叔父上は穏やかに微笑んだ。













「…お前は先程も迷わず家臣を選んだ。あの目は偽りではない。




わしの目に狂いはないぞ。




——————紛れもなくあれがお前の赤心せきしんだ」






    

 





赤心。





それは、偽りのないありのままの心のこと。







あれは確かに、島津を想う気持ちだけにした心で選んだ答え。








……叔父上には敵わないと思う。

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