第32話

ニヤッと笑う俺に名倉君は複雑そうな表情を浮かべる。




それでも加奈子ちゃんは名倉君を見つめて目を輝かせていて。




加奈子ちゃんにとって、名倉君は本当に王子様なんだろうなって実感した。




名倉君……こんな美少女に告白されて、嬉しくないのかな?




躊躇せずに付き合えばいいのに。




俺なら取り敢えず、




いいよー!付き合おう?




ってOK出してさっさと食べちゃうよ。




「そろそろ普通の恋をした方がいいと思うよ?」




「黙れや!このムッツリ大魔人が!」




だって、振り向いてくれない女の子を想い続けるよりさ……。




「ホントのことだろ?」




自分のことを好きだって言ってくれる子を好きになる方が楽じゃん?




「ま、まさか!ありえへんしな!」




なんて……。











「美優ちゃん、あっち行こ?」




「………え?拓真君?ちょ、ちょっと待って……!」




口で言うのは簡単なのにね。

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