第30話

「………え?俺?」




「はい。」




その場にいる全員が驚く中、名倉君に告白した女の子だけは至って普通の態度で頷く。




もう普通すぎてドッキリとか罰ゲームじゃないのー?って叫びたくなるし。




美優ちゃんと兄ちゃんなんて笑いを堪えるのに必死なのか、肩が震えちゃってるしさ。




「王子様って言わなかった?」




「名倉さんは私の王子様です!」




一応確認するつもりで女の子にそう聞いたら、即答でそう返してきた。




「名倉君が王子様……。」




ちょっと信じられない。




だって名倉君は王子様ってキャラじゃ……。




って、さすがにそれは名倉君に失礼か。




「な、何やねん!皆してニヤニヤしやがって!俺だって一応イケメンの部類に入るっ……はず。」




ムキになって叫んだわりに、最後は自信なさげに声を落とす名倉君。




「半端なくカッコいいです。」




そんな名倉君にキッパリそう言い切る女の子。




「な、な、なに言うて……ぐぁっ!?」




名倉君はかなり動揺したのか両替機に思いっきり手をぶつけた。

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