第28話

俺の気も知らずに、目の前でイチャイチャする兄ちゃんと美優ちゃんにため息が出る。




俺の恋心なんて全く気付いてないんだろうなー。




2人揃って鈍感すぎだし。




まぁ、そんな2人に堪えきれなくてキスしちゃったんだけど。




ホント、恋は曲者だよ。




するつもりなんてなかったのに。




あの時の美優ちゃん、かなり動揺してたけど……。




兄ちゃんには秘密にしてるのかな?




兄ちゃんは何も言って来ないし。




まぁ、知ってたら兄ちゃんのことだから、俺と美優ちゃんを会わせてもくれないか。




「ちょっ……なに落ち込んでんねん。」




ボーッとしていた俺の背中を名倉君がそう言いながら軽く叩く。




「……え?何がー?」




パッと顔を上げて、惚けたら名倉君は困ったように眉を潜めた。




その名倉君の心配丸出しの顔に切なさが込み上げる。




母ちゃんみてーな男だな。




名倉君って。




今の俺、バレバレなくらい落ち込んでるように見えるのかな?

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