第27話

正直、兄ちゃんと美優ちゃんのラブラブっぷりを見るのはキツイ。




でも、美優ちゃんに会えなくなるのはもっと嫌だ。




だから、辛くても会いたい。




あぁ、もう。




俺、報われない恋してるなー。




自分で自分がたまに可哀想になる。





だいたい、ホテルで初めて会ったときからだ。




違和感を感じていたのは。




美優ちゃんはすっげー俺のタイプで。




兄ちゃんの彼女って事実に、胸が思いっきりざわついた。




それから暫くは、気のせいだと思って過ごしてた。




でも、それが気のせいなんかじゃなく"恋"だって、はっきり自分の気持ちに気付いたのは……。





あの遊園地で美優ちゃんが転けそうになったのを抱き止めたとき。




抱き締めた美優ちゃんは、華奢で柔らかくて、無性に守ってあげたくなって……。




嫌なくらい胸がドキドキ高鳴って、はっきり解った。




"好きだ"って。




気付くのが遅すぎたんだ。




好きな気持ちは、兄ちゃんに負けない自信だってあるのに。




美優ちゃんは兄ちゃんしか見ていなくて。




俺が入る隙なんて全く無いし。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る