第5話

「何もないで。ありがとうな。」




純粋に俺を心配してくれる拓真君に嬉しくなる。




ほんまええ奴やし。




友達として見れたら最高やのにな……。




……さっさと女作ろう。




そう決心を固めてた俺を後目に拓真君は小さくため息をついて髪の毛を指でクルクル弄り始めた。




「俺って女に見える?」




そうぼそっと呟かれた言葉に心臓がドキッと音をたてる。




……やばい。




俺の気持ちバレた?




まさかの拓真君の発言にドキドキと鼓動が速まって、手に汗までかいてきた。




もし、バレたならどうしたらええんやろ。




俺は内心焦りながらもとにかくポーカーフェイスを決め込んだ。




「そんなことないって。」




若干声が裏返りつつ、そう言いきる。




まさか、「せやな。女に見えてる。」とか言われへんしな。




ギュッと手を握り絞めて緊張してる俺に視線を向けた拓真君は憂鬱げな顔で目を伏せた。




目の下に睫毛の影が出来て、それが哀愁を感じさせる。

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