第3話
すでに初日から、この団体を退会することは決めていたから、波風立てずに、目立たずに、あたかも従順な犬のようにふるまい、俺の辞表をもっとも止めにくいタイミングで、辞表を出してやると決めていた。
そのことは、団体の誰にも──もちろん、中学生の子供たちにも言わなかった。
それから15年後の最後の日、彼女は俺に嘘つき、と告げた。
おもえば、俺は彼女に嘘をよくついていた。
『来年もまた一緒にこれやろうね!』と、この団体イベントの最後に、彼女は言い、俺は高い抑揚で、もちろんだ、と答えた。
これが最初のウソ。
俺は彼女に、彼女が傷つかないための嘘をつくより、彼女が傷付く嘘のほうを良く吐いたのだ。
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