第2話

ちょこちょこ近づき、(俺の話はまったく聞かずに)声優やらアニメやらのマシンガントークをして、歌うだけ歌い、さいごに『ばいばい、みんQちゃん』。本当にちゃん付けされていた。

この頃は、なんだろう、この小動物は……? と思っていたし、当人にも後にそれを伝えた。


ともかく、その子との出会いは、距離感のバグったコンタクトだった。


話を、国際交流にもどす。


いきなり初対面の中学生を、即座に外国へ連れて行くわけではなく、まずは子供たち同士のつながりを、ということで、何度かオリエンテーションが組まれる。


オリエンテーションの場所はどこだったか、完全に忘れていたが、書いていたら思い出した。


温泉街にある、市の共済施設。


そこで、子供たちは外国の子供との交流のために、歌を教えられる。俺は講師をやることになった。話すのは、難しいとも思わない。言えと言われれば何万人の聴衆が相手でも話せる。


それに緊張はおぼえなかったが、すでに話す内容は決められていた。『江戸しぐさ』について語れという。


そのために資料を読み、江戸時代の本を開いて、準備を完了した。小説はバリバリ書いているのだから、こんなの屁でもない……と思っていたら、大して読まれることもなく、団長の言うとおりに書けと言われ、すべて白紙になった。

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