第6話

「まぁけど、颯斗だって仕事が終われば真っ直ぐ帰宅してくれてるし。それはお互い様じゃない?」



「…いやっ!いやいやいやいや、菜々…前に言ってたよね?アイツ、菜々には夜出かけるなって言ってるくせに自分は職場の飲み会とか参加してるって!」



「飲み会っていうか…新人歓迎会とか忘年会とかそういう集まりでっ、」



「いやいや…自己中すぎん?職場の集まりってことは女いるじゃん!その後家まで送ってあげたりしてるんじゃないの?…もうさ、こんなこと言いたくないけど、、絶対黒だと思う」





美雪は私のことを哀れんだりはしない。むしろ良かったじゃないか、と言わんばかりに清々しい表情で私に向かって毒を吐き続ける。




「…真剣に、別れることをオススメするよ」




身体を重ねないと一緒には居られないのだろうか?確かに昔は頻繁に颯斗の方から私を誘ってくれていたけど…今だって全くそれがないという訳では無い。




月に一回か二回、颯斗の方から私のことを求めてくれることはある。頻度は少ないものの、その一回や二回はとても─…激しい。




何度達しても解放してくれることはなく、颯斗の気が済むまで抱かれ続ける。その時間がとても幸せで─…私も颯斗を求めてしまう。





───でも、




もしも美雪の言うことが本当で、私以外の女の子に愛の言葉を囁いたり、同じように身体を重ねたりしているのだとしたら─…死ぬほど辛い。

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