第2章 先生の隣に居たい
得点係
1
体育祭に向けた練習が始まった。
徒競走や障害走など、高校の体育祭も良くある定番競技だ。
ある日の放課後。
今日は係ごとに打ち合わせをするらしい。その為、得点係となった私は、河原先生と一緒に2年生の教室で待機していた。
「……1年と3年が来るから。それまで待機」
「はい」
何故得点係が2年生の教室かというと、河原先生が担任をしているクラスだから、というだけらしい。
移動が無いから河原先生と2人で過ごせているけれど、何だか空気が重くて口を開く勇気が出ない。
「……平澤」
「は、はい」
名前を呼ばれるだけで、動揺してしまう私。河原先生のこと、意識し過ぎて自分でも呆れてしまう。
「係、ありがとうな。引き受けてくれて」
「あ、いえ……」
ありがとうなんて、思っていないくせに。
忘れていないんだから。あの時の『やってしまった』みたいな顔。
そう思うのに。でもやっぱり『ありがとう』と言われたことが嬉しくて、少しだけ胸が温かくなる。
悔しい。
今もまた、河原先生への好きが溢れて止まらない。
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