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「河原先生、タバコスティックを1本貰えませんか」

「良いですよ」



 電子タバコのホルダーに挿して咥える部分。たまに、あれを欲しがる先生が現れる。



「ありがとうございます、河原先生。貴方なら絶対持っていらっしゃると思いました」

「まぁ、ヘビースモーカーですからね」



 スティックを渡すと、その先生はスキップをしながら職員室から出て行った。



 タバコスティックだって、安くはない。今の先生は『高くて嫁が買ってくれない』と嘆き笑っていた。




「……ふぅ」




 タバコスティックは1箱20本入。それを俺は1日で2箱を空にすることがある。自分でも有り得ないと思っているし、かなりクズだとも思っている。



 だから、分からない。



 ヘビースモーカーで、オッサンな教師。



 平澤はそんな俺のどこが好きなのか。



 何1つ、俺には分からない。




 とはいえ。



 平澤に告白されて、嬉しかった自分もいる。




 それがまた、余計に意味が分からなくて。つい、頭を掻きむしって溜息を零した。






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