第30話

術後から1時間もするとはなは目を覚ます。


「目が覚めた?」


俺ははなの頬に触れる。


「…律、」



「手術終わったよ、明後日には退院できるから。」



はなの目から涙が溢れる。



「…っ、いなくなっちゃった…」


どう言葉を掛けていいのか分からなかった。

ただ彼女の涙を拭う事しか出来なかった。


自分が言葉を発すると彼女にプレッシャーを掛ける事が分かっていたから…


はなが泣き止むのを静かに待つしかなかった――――。

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