第27話

―――


アタシは律と一緒にナースステーションに居る師長に挨拶をする。

そしてこの病院の親族であるアタシは特別室に案内された。



「こんなに広い病室じゃなくてもいいのにね。」



「まあ師長の心遣いを快く受け取ったら?」


律は荷物をロッカーに入れていく。



「あ、いいよ。早く仕事に出て?」



アタシがそう言うと律はアタシの方を向く。


「…自分の家族が手術する日に冷静に仕事が出来るほど俺って冷淡な人間?」



「え…?」



「今日ははなといるから、手術が終わるまで。」



「ほんと…?」



「うん。」



アタシの目から涙が落ちる。



「…本当は心細かったの、なんか律が冷たく感じてたし…、」



「俺だってはなをそう思ってたけど?」



律はアタシをそっと抱き締める。



「だって、アタシは律に家族をっ…」



「もう言わないで。はなのせいじゃない。」



彼に申し訳なくて、どう接していいのか分からなかった。



「俺より辛いのは、はなだ。俺は…はなを支えるから。」



アタシは律の腕の中で思い切り泣いた。

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