第9話

――医局で帰り支度をしていると冬弥に出会う


「もう帰るのか?」


「...ちょっと用があるから。」


冬弥はコーヒーメーカーの場所へ向かう


「それは良かった、午後からの治療がスムーズにいくよ。」



俺はロッカーの扉を閉める


「そんなに俺の目が気になる?別に監視してるわけじゃないけど。」



「さあね。あ、そうだ律お前見たか?今月号の医学雑誌。」


冬弥はテーブルに置いてある雑誌を手に取ると、俺に向かって投げた


表紙を見ると消化器内科の特集だった


「お前のいた大学って結構消化器で有名だろ?」



「らしいね、」


俺は自分のいた大学病院の特集ページを開く

そこには、



「律、死んだ祖父さんが言ってた。」



「なにを?」


冬弥の声を聞きながら、ページに載っている笹原教授を見つける


この人は父さんと大学が同期だと言っていた...


「真実かどうかは分からないけど、お前の出生にその教授絡んでるらしいけど。」



え?


俺は思わず冬弥を見る


冬弥は薄ら笑いを浮かべていた

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