第31話

「あ……、ごめん。」


あからさまに疑うような発言をしてしまった。


「何かしたって言ったら?」


「え……、」


「まぁ、アイツ結局帰ったの朝だし手を出そうと思えば出せたかもな。」


「波久!」


思わず俺は声を荒らげてしまう。

自分の兄が挑発してくるから。


「凪、疑うならはじめから菜々を寄こすな。」


……波久の言葉に何も言い返せなかった。


「悪いけど俺と菜々は相性が悪い。もう俺に近づけるな。」


そう言って波久は通り過ぎようとする。


「そうには見えないけど?」


波久は振り向く。


「は?」


「波久はそう言いながら菜々を気に入ってるじゃないの?」


「それは、……」


「それは?」

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