Lovesick 10

第28話

「……何でそんな事聞くんだよ。お前俺に興味なんてないだろ。」


頬杖を止めて浦崎先生は私を見た。

色素の薄い肌に茶色のように見える瞳なのにどこか鋭い目が少し私を躊躇させる。


「……浦崎君のお兄さんだから、です。ただそれだけ、」


「嘘つけ、小児に引っかかるんだろ?」


私は小さく何回も無言で頷く。

この人には嘘はつけない。すぐ見破られてしまう。


浦崎先生は私から視線を外す。

頭の中で言葉を探しているようだった。


「俺は、自分の子どもを持たない。いや、持てないからだよ。」


「え……、」


「菜々、お前残酷だな。俺が一生かかっても手に入らないものを一瞬で奪ったんだから。」

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