Lovesick 10

第28話

「な、何度も……ですか?」


「そう、服もこうやって脱ぎあいこして、」


そう言いながら浦崎君は私の胸元のボタンをひとつ外す。

急いでそれを阻止するように彼の手を掴む。


「ちょ、ちょっと何して、」


「あの日の夜のこと思い出さないんでしょ?なら今ここで思い出してよ。」


私の手は簡単に振りほどかれる。


「彩さん何度も俺の名前呼んでたよ、本当は知ってたんでしょ俺の事初めから。」


い、いやそれは夢だと思っていたから……、


そう思っていると首筋に感じる彼の唇。

優しく触れる指先……、


あ……この感覚何となく覚えている。


私より少し体温低めの彼。


「……少しは思い出した?」


耳元で囁くからゾクリと深い甘い感覚で目眩がしそうだった。


私は小さく頷く。


「彩さん、だから俺と……、」♪♪~


浦崎君が何か言いかけると自分の携帯から着信音が鳴る。


「あ……、出なきゃ、」


「いま?今出なきゃダメ?」


そんな誘惑するような言い方しないで。


だって……、


「これは職場からの着信音です。」

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