第8話

昨日は同窓会があって出席にしていたけど脳外の緊急オペが入って麻酔をかけ終わって同窓会のホテルに着いたのはもう21時前だった。


別に凄く来たいわけじゃなかった。


ただ、日々の忙しさに疲れていたから懐かしさを感じたかったのかもしれない。


麻酔科医を目指してここまで辿り着いたけれど、先が見えないどころかスタート地点にもいない自分が時々嫌になる。


「おねーさん、酔ってるの?連れて帰ってあげようか?」


ホテルの入口で男にそう声をかけられているヒトを見た。

「結構です。酔ってません。相手にされない同窓会なんてこっちからお断りなんです!」


……めっちゃ酔ってる。


……ん?同窓会って女の人は言った?


俺と同級生ってコト?


「じゃあ、俺と一緒に行こう。」


その男は彼女の腕を掴む。


「あ、何してるの。こっちだよ待ち合わせは。」



思わず駆け寄ってそう口走ってしまった。


あ……、俺のお節介がここでも発揮されてしまった。

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