第58話

「俺が助っ人で行きたかったんですけど、まぁ葵の方が仕事早いから。」


古河くんは笑いながらそう言った。


2人は同期だったんだ。

改めて理解する。


「葵はあの顔で人付き合い悪いからもっと外向的になれ、って話すんですけどね。」


私は小さく頷く。


「だからいつまでたっても彼女できないし。」


……いや、好きな人はいると思うよ?


「いるけど古河くんに紹介してないだけなんじゃない?」


そう言うと古河くんは私を見た。


すると目的の総務課に着いた。

彼も同じ階で降りる。


「文月さんは葵の彼女知ってるんですか?」


「え?あ、そんなわけないじゃない。院瀬見くんとはそこまで親しくないわ。」


「……ですよね、ちょっとビックリしました。」


「どうして?」


「だって葵は俺が文月さんに気があるコト知ってますから。アイツが文月さんと親しくなることはないと思います。」


……絶句。

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