第56話

昼休憩の時も私も院瀬見くんも無言だった。


本当は急いで美希にLINEしたかったけど……。

美希に言った所でどうなる?

院瀬見くんは別に私を好きでキスしたわけでもないのに。


……この有頂天になっている私のアタマどうにかしたい。


恋愛から程遠い私にしたらあのキスは無理矢理ココロをこじ開けられた気分。


でも不愉快ではなかった。

それは風が入ったから?それとも彼だから?


「文月さんちょっといい?」


お花畑の私の耳に佐々木さんの声が入る。

ヤバい仕事しないと。


「今日会社寄って直帰だったよね?」


「あ、その予定です。」


「悪いけどこの書類を総務課に渡して置いて欲しいんだけど。」


「分かりました、預かりますね。」


佐々木さんとのやり取りを院瀬見くんが見ていたなんて知る由もなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る