第50話

院瀬見くんは珍しくカジュアルな服装で出勤していた。

スタイルが良いのか何を着ても似合う。

元が良いと苦労しないわね、羨ましい。


「文月さん、」


急に呼ばれるから彼の声にちょっと焦る。

持っていたコーヒーが少し波打つ。


「は、はい。」


思わず敬語になる。


そんな私を見て院瀬見くんは不思議そうな表情をした。


「文月さんは恋愛を楽しみたいですか?」


……は?


今何を言ったの?

私は一瞬よく理解できなくて彼を見つめた。


「あ、すみません。忘れてください。くだらない事を聞きました。」


「院瀬見くん、何か悩んでる?あー……、誰かと拗らせてるとか?」

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