第44話

「でも彼がそこまで言うなんて、ちょっと意外ね。」


美希はビールを1口飲むとそう言った。


「とにかく院瀬見くんは失礼なヒトよ。」


「そうじゃなくて、遙日が怖いんじゃない?」


「はぁ?どういう意味。」


私はレモンサワーを追加するためタッチパネルを手に取る。


「だから、遙日を好きになりそうで怖いんじゃないの?だからそうやって境界を張ったのよ。」



……タッチパネルに触れようとした私の指は止まる。


そして隣に座る美希の顔を見た。


「美希、まだ1杯目なのにもう酔ったの?」

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