第34話

「院瀬見くん、銀行は大丈夫なの?」


彼の担当はメガバンクだ。

1人抜けても困るのではないかと心配する。


「大丈夫です、チームの先輩方は有能なので。」


「あ、そう、」


それは失礼しました。聞くだけ野暮だったわね。

なんかちょっと腹立つわ。


「文月さん、ちゃんと家に着きましたか?」


え?

いきなりそう言われたからちょっと考える。

ああ、先週のスペインバルの話しか。


「あ、うん、ありがとう。美希は大丈夫だったかな?」


「大変ですよ、美希さんは酔うと抱きつくクセがありますからね。」


院瀬見くんはそう言いながら少し笑った。


確かに美希は酔うと誰にでも抱きついてしまう迷惑なクセがある。


「い、院瀬見くんも餌食になったのね。」


「飲みに行くと大体毎回なんでもう慣れました。」


ふうん、そうなんだ。



余計に2人を疑ってしまう自分がいた。


「院瀬見くんは……もしかして美希が好き?」

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