第25話

「お疲れ様です。そうですねこのまま直帰です。」


院瀬見くんは美希に社交辞令のような笑顔を見せる。


「今から遙日とスペインバルに行くんだけど院瀬見くんもどう?先約ありかな?」


「え、ちょっと美希っ?」


私は思わず美希の腕を掴む。


「え、だって人数多い方がいいじゃない?院瀬見くんアルコール強いし。」


「そ、そうじゃなくてっ、院瀬見くんも困るから!急に誘ってもきっと用事が、」


「用事ないんで行きますよ、場所教えてください。」


え?


院瀬見くんはそう言って携帯をポケットから出した。


「ホント!?ダメ元で言ってみたんだけどね。」


美希のテンションは急上昇。


「別に予定ないんで。」


……お願い、用事なくても断ってよ。

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