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「じゃあこれからは、変な意地悪しないでくれるんですよね?」


「え?なんで?嫌だけど」


「はい!?」


「最初は確かに誤解してたからだけど、最近梨子ちゃんいじるの面白くなってきたし」



思わず、隣の腕をバシッと叩く。


しまった。ついやってしまった。



「あっ、ごめんなさい……」



怒るかな。怒るよね……。


恐る恐る謝ると、浅野先輩は特に何も気にする様子もなく、叩かれた腕を触った。



「いいよ、ムカついたときはそうやって叩いたり、文句言って。男が苦手とか言ってさ、結構喋れるじゃん。そっちのがずっといいよ」


「それは、先輩が……」


ここに閉じ込められてから、先輩がずっと優しいから。


ふたりきりで朝までなんてどうしようかと思ったのに、この空間を心地いいとすら感じ始めている。

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部室内レンアイ~ズルいです、先輩。 榊あおい @aoi_sakaki

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