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「な、なんですか……いきなり」


「寒かったから」



隣に座ったくらいじゃ、温かくなったりはしないと思うのですが。


おかしい、私。


苦手で仕方なかった人がほぼゼロ距離に位置にいるのに、嫌じゃない……みたい。



「梨子ちゃんはさ、今までのマネージャー希望とはなんか違うじゃんって思ってた。

ビビリながらキャプテンに質問に行ったりとかさ。そんな真剣にやってる子、いなかったよ」


「だから、苦手なんですってば、男子は……。でも、本を見ただけじゃ分からないところは直接聞くしかなくて……」


「うん、頑張った」



伸びてくる手のひらに驚いて、ギュッと目を閉じると、大きな手のひらはポンッと頭の上に落ちてきた。


な、撫でられている……?


意味が分からない。


先輩は、意地悪なはずなのに。


優しくなんてないはずなのに。



今が夜でよかった。


暗くてよかった。


私、きっと今すごい顔をしてる……。

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