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私がサッカー部に入った理由。
それは……。
澪先輩の押しに負けたから?
すごく困っているように見えたから?
ううん、違う。
それも嘘ではないけど、私はきっとそんなに綺麗なことは考えていなかった。
……本当は。
「なに?」
私の言葉の続きを待つ浅野先輩と視線が重なる。
あの時、目を奪われた。
先輩の姿に。
真剣な瞳に。
あの瞬間。
だから、私は……。
「と、とにかく、知宏のそばにいたいとか、そんな理由じゃありませんから……。あ……男子苦手なのは、当たってます……けど」
「いいよ、苦手なままで。そっちのが遊びがいあるし」
「そっ、そんなふうに思ってたんですか!?」
え、なに?
先輩が今まで私だけに意地悪だったのって、男子が苦手なことを分かっていて遊ばれてたってこと?
上がりかけた株が、ヒューッと急落していく音が聞こえる。
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