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それから、何度かここから脱出する方法を考えたり試したりしてみたけれど、
暗いし見えないし先輩は完全に諦めムードで少しも手伝わないし……で、ついに諦めることにした。
先輩が座る席の向かい側の席に着いて、ため息をついた。
「隣来ればいいのに。寒くない?」
「大丈夫です……」
というか、隣に座るだけで温かくなるほど、先輩が熱を放出しているとも思えない。
まだ六月。確かに夜は冷える。
ぶるっと身震いして、腕をクロスさせて自分の体を抱きしめた。
こんなことになるなんて……。
「あの、ごめんなさい、私で。先輩は、澪先輩と閉じ込められた方が良かったですよね」
「誰とも閉じ込められたくないけど。ひとりででも閉じ込められたくないけど」
それはそうか……。正論。
私、何言ってるんだろう。
この滅多にない特殊な状況のせいで、変になっているみたい。
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