28

「先輩、あの……」


「あれ?」



声を出したのは、ほとんど同時だった。


片付けも終わり、先輩が先に部室を出ようとドアノブを回した時。


ガチッと、硬い音がした。



「……どうしたんですか?」



ドアノブをつかんだまま固まる背中に、たまらず声をかける。


先輩は心なしか青ざめた顔で振り返り、小さく告げた。



「鍵、閉められた」



少しの間理解が出来ずにいた私は、何度か瞬いて、



「……え、えー!?」



久しぶりに、大声を上げた。

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