24

ドキドキしながら、幽霊の正体を見ようと足を進める。


この幽霊、ずいぶんとサッカーが上手な……。



「……浅野先輩?」



思わず声に出してしまった。


そこにいたのは幽霊でもなんでもなくて、先ほど皆と一緒に帰り支度をしていたはずの人だったから。


何でひとりで……。


考えてみれば、校門まで向かっている時、浅野先輩の姿はなかった。



「梨子ちゃん?帰ったんじゃなかったの」



浅野先輩も私に気づき、足を止める。



「私は、学校に忘れ物しちゃって……」


「知宏は?」


「あ、帰りましたけど」


「へー、いつも一緒なのに」


「そんなにいつも一緒にいませんよ」



知宏とは家は近いけれど、学校に行く時は別々だし。


帰りだって、部活が終わる時間が一緒だからこそ途中まで話しながら帰ったりもするけど約束しているわけでもないし。



「そうだっけ?」



また意地悪を言うふりをして、わざと話題を変えようとしているみたいに見える。


だからだと思う。


気になってしまったのは。


いつもの私なら、すぐに立ち去っていたはず。

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