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サッカーボールが跳ねたような気がして、私は校舎を抜けてグラウンドへ急いだ。


暗くてよく見えなかったけど……。


ボールの片付け損ないがあったのかな。


最後に全部チェックしたつもりでいたのに。


耳を澄ます。


やっぱり……。


ポーンとボールが弾むような音が聞こえる。


風で転がってるのかな。



グラウンドまで近づくと、人影が見えた気がしてビクッと立ち止まった。


えっ、人……?ひ、人!?


でもさっき、練習は終わって皆帰ったはずだし……。


こんな時に、小学校時代にあった七不思議のひとつ、誰もいない体育館でボールで遊ぶ幽霊なんて、余計なことを思い出す。


いやいや、まさかそんな。……え?


怖いはずなのに、私の足はグラウンドへ進む。


怖いもの見たさとは、まさにこの事。

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