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ほとんど人がいなくなった学校の中は所々薄暗くて、なんだか不気味。


向かう先は校舎二階、図書室。


電気のスイッチを入れて、がらんと静まり返った部屋の中を歩く。


ひとつの机の上に、ポツンと一冊だけ残った本を手に取って、安堵した。


よかった。そのまま置いてあった……。


私の手の中には、サッカーのルールブック。


マネージャーになった日から始まった、昼休みの図書室通い。


貸し出し手続きを終えたのに、肝心な本を持っていくのを忘れてしまっていた。


今日は、家でじっくり読むつもりでいたのに。


これで何冊目だろう。


本によっては、競技を行う上でのポイントとか、書いてあることが違っていたりするから、色々と勉強になる。



本も見つかったし、早く帰ろう。


電気のスイッチに手を触れて、ふと窓の外を見る。


視線の先には、グラウンド。


……あれ?

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